本大会は、東アジアを中心とした国々の研究者に、多様な分野において蓄積されてきた日本研究に関する成果を発表・議論する場を提供し、日本研究と日本研究者の国際的交流の発展に寄与することを目的としています。本大会が誕生した背景として、北米を中心とした地域ではAAS(アジア学会)、欧州を中心とした地域ではEAJS(欧州日本学会)が開催されているのに対し、東アジア地域では、多くの日本研究者が活動しているにもかかわらず、本大会発足以前は個人あるいはグループ単位での交流が小規模で行われていました。すなわち、東アジアの日本研究者が一堂に会して交流する場はまだ作られていませんでした。
そこで、5名の発起人により東アジアの日本研究機関を中心とした「東アジア日本研究者協議会」(以下、協議会)を発足し、協議を重ねてきました。本協議会の趣旨は、第一に日本研究の質的な向上を目指すこと、第二に地域の境界に閉ざされた日本研究から脱し、より多様な観点と立場からの日本研究を深めること、第三に東アジアの安定と平和に寄与すること、としました。その他、東アジアの日本研究者が一堂に集まり、討論しあい交流すること自体にも意味があると考えています。協議会は将来的に、東アジア全域をカバーする学会の設立を前提にしたものです。
上記に述べた趣旨をもとに、東アジアの日本研究機関が順次進行を担当し、年に1回の国際学術会議を開催してきました。第1回は2016年に韓国のインチョンで、第2回は2017年に中国の天津で、第3回は2018年に日本の京都で開催され、第4回は2019年に中国の台湾で、第5回はコロナ禍の影響で2020年は延期となり2021年に韓国のソウル(オンライン)で開催され、そして第6回目となる2022年の大会は中国の北京で開催されます。今回の北京での開催では、東アジアの日本研究者が交流を深め、分野を超えた学際的研究の基盤作りを目指しています。日本研究が日本に限られるものではなく、東アジア周辺の国々へと拡大させ、マクロ的視点の立場から、すなわち日本以外の国や地域の視点から志向することによって新しい道を見出すことを目指します。なお、次世代の日本研究者の育成にも力を注ぎ、積極的に支援することにより大学院生や若手研究者が切磋琢磨し、互いに良い刺激を受けることが、将来の日本研究の発展につながるだろうと確信しています。